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量子物理学:実数に基づく量子論は実験によって反証できる

Nature 600, 7890 doi: 10.1038/s41586-021-04160-4

複素数は数学では不可欠だが、物理実験ではそれが確率つまりは実数で表現されるため、記述に複素数を必要としない。しかし物理学の目的は、実験を記述するのではなく、理論を通して説明することである。物理学の理論の大半は実数に基づいているが、量子論は複素ヒルベルト空間上で作用する演算子に関して定式化された最初の理論であった。これは、量子論の創始者たちを含む数多くの物理学者を悩ませてきたが、それは実数演算子で表現される実数版の量子論の方がはるかに自然であると思われたからだった。実際、これまでの研究では、そうした「実数量子論」が、多量子間量子実験(マルチパータイト実験)の結果を、その部分が任意の実数量子状態を共有する限りは全て再現できることが示されている。今回我々は、複素数が実際に量子論の定式化に必要かどうかを調べた。我々は、実ヒルベルト空間と複素ヒルベルト空間による量子論の定式化が、独立した状態と測定からなるネットワークシナリオにおいて異なる予測を行うことを証明し、量子論の定式化には複素数が必要であることを示す。これによって、ベルの実験に類似した実験を考案できるようになり、そうした実験に成功すれば、標準的なベルの実験によって局所物理学が反証されたのと同様に、実数量子論が反証される可能性がある。

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