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言語学:「三角測量」によって支持された、トランスユーラシア諸語の農耕に伴う拡散

Nature 599, 7886 doi: 10.1038/s41586-021-04108-8

トランスユーラシア諸語(すなわち、日本語、韓国語、ツングース語、モンゴル語、チュルク語)の起源およびその話者の初期拡散は、ユーラシア集団史の中で極めて大きな争点となっている。重要な問題は、言語の拡散、農耕の広がり、集団の移動の相互関係である。今回我々は、統一的な視点で遺伝学、考古学、言語学の「三角測量」を行うことによって、この問題に取り組んだ。本論文では、これら各研究分野の広範なデータセットを報告する。これらのデータセットには、網羅的なトランスユーラシア諸語の農耕牧畜語彙と基本語彙、北東アジアの新石器~青銅器時代の255遺跡の考古学的データベース、そして、朝鮮半島および琉球列島の古代人ならびに日本の初期の穀類農耕民の古代ゲノムのコレクションが含まれ、こうした古代ゲノムはこれまでに発表されている東アジアのゲノムを補完するものとなった。従来の「遊牧民仮説」に反して、我々は、トランスユーラシア諸語の共通祖先および初期拡散が、前期新石器時代以降に北東アジアをまたいで移動した最初期の農耕民までさかのぼれること、しかしながら、この共通の伝統は青銅器時代以降の大規模な文化的相互作用によって覆い隠されていることを示す。これら3つの研究分野のそれぞれで大きな進歩が得られたのみならず、その収斂的な証拠を組み合わせることで、トランスユーラシア諸語話者の初期拡散が農耕によって促進されたことが示された。

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