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遺伝学:ヒヨコマメの3366系統のゲノム塩基配列解読に基づく遺伝的多様性マップ

Nature 599, 7886 doi: 10.1038/s41586-021-04066-1

飢餓ゼロおよび良好な健康は、遺伝資源(生殖質資源)の効果的な保全、特性評価、利用によって、2030年までに実現できる可能性がある。これまで、ヒヨコマメ(Cicer arietinum)において、ゲノム塩基配列レベルでの特性評価が行われた生殖質系統はほとんどない。本論文では、3171の栽培系統および195の野生系統の詳細な多様性マップを提示し、ヒヨコマメのゲノミクス研究用および育種用の一般に利用可能な情報資源を提供する。我々は、ヒヨコマメのパンゲノムを構築し、栽培系統とその野生祖先系統にわたって見られるゲノムの多様性を明らかにした。1つの種の約80%の個体に存在する遺伝子を用いた分岐系統樹により、ヒヨコマメ属の過去2100万年にわたる分岐を推定することができた。解析の結果、栽培化、移動、改良における選択のシグネチャーを示す染色体セグメントおよび遺伝子が発見された。また、優良な生殖質において、遺伝的多様性の制限や適応度の低下の原因となる有害な変異の染色体での位置が特定された。ハプロタイプに基づく育種によって優良育種系統へ移入することが可能な在来種の改良関連形質に関して、優れたハプロタイプが見いだされ、ゲノミクスを用いた育種や遺伝子編集によって有害な対立遺伝子を排除するための標的が発見された。さらに我々は、最適寄与選択(optimal contribution selection;OCS)に基づく前育種によって、遺伝的多様性の低下を回避しながら16形質に関して作物の生産力を強化する、ゲノム予測に基づく3つの作物育種戦略を提案する。重要な収量関連形質である100粒重で予測される成績は、OCSに基づくゲノム手法では最大23%、ハプロタイプに基づくゲノム手法では最大12%向上した。

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