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植物分子生物学:シロイヌナズナでFLCを抑制する低温誘発性FRIGIDA核内凝縮物

Nature 599, 7886 doi: 10.1038/s41586-021-04062-5

植物は、季節ごとの気温を合図として用い、生殖への移行時期を決める。シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)では、冬季の低温が、花成抑制遺伝子の座位であるFLOWERING LOCUS CFLC)を、ポリコーム抑制複合体2(PRC2)を介してエピジェネティックにサイレンシングしている。この春化過程により、花成が春季に起こるようになっている。このサイレンシングの前提として、FLCの転写が抑制されている必要があるが、これが秋季の変動性の気温レジームで起こる仕組みについては分かっていない。転写の抑制は、ヒストンH3のK36トリメチル化(H3K36me3)やK4トリメチル化(H3K4me3)の局所的なレベルの低下と相関しており、これらのトリメチル化は、FRIGIDA(FRI)依存的なFLCの活性化の間に蓄積する。今回我々は、低温によってFRI核内凝縮物の形成が急激に促進され、これらの凝縮物は活性なFLC座位に共局在しないことを示す。こうした凝縮物の形成は、FRIによるFLCプロモーター占有の減少やFLCの抑制と相関していた。短時間の気温上昇は、この過程を逆転させてFLCの阻害を緩衝し、早過ぎる花成を防いだ。低温での凝縮物蓄積は、特異的な転写調節コファクターや、アンチセンスRNA COOLAIRの特異的アイソフォームの低温誘導に影響された。我々の研究は、転写活性化因子の動的な分配が自然の気温変動に応じて可塑性を生み出し、その結果、植物が季節の進行を効率的に感知できるようになることを明らかにしている。

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