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分子生物学:トランスポゾンに関連したTnpBはプログラム可能なRNA依存性DNAエンドヌクレアーゼである

Nature 599, 7886 doi: 10.1038/s41586-021-04058-1

転位は、あらゆる生物でゲノムの再編に重要な役割を担っている。IS200/IS605ファミリーとIS607ファミリーの挿入配列は最も単純な部類の可動性遺伝因子であり、自らの転位とその調節に必要な遺伝子だけを含んでいる。これらの因子には移動に不可欠なtnpAトランスポザーゼがコードされており、またそれに付帯して、転位に不可欠ではないtnpB遺伝子も含まれている場合が多い。IS200/IS605に属するトランスポゾンの転位にTnpAが果たす役割は詳しく調べられているが、TnpBの機能はまだほとんど分かっていない。TnpBは転位の調節に役割を担っていることが示唆されてはいるが、どういう機構で働くのかはまだ明らかになっていない。バイオインフォマティクス解析では、TnpBはCRISPR–Cas9/Cas12ヌクレアーゼの祖先である可能性が示された。しかし、これまでTnpBによるものとされる生化学活性は全く見つかっていなかった。今回我々は、放射線照射抵抗性細菌であるDeinococcus radioduransのISDra2のTnpBがRNA依存性ヌクレアーゼであり、トランスポゾンの右末端配列に由来するRNA分子をガイドとして、トランスポゾン関連モチーフと命名された5′-TTGATの隣でDNAを切断することを明らかにした。また、TnpBはプログラムし直すことが可能で、ヒト細胞でDNA標的部位を切断するようにできることも分かった。総合すると、今回の研究によって転位におけるTnpBの役割が明確になったことで、転位の機構についての理解が進み、TnpBがCRISPR–Casのヌクレアーゼ機能の祖先であることが実験的に確認され、TnpBが新しいゲノム編集システムの原型として使えることが明らかになった。

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