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特集:BICCN:ヒト、マーモセット、マウスにおける運動皮質の比較細胞解析

Nature 598, 7879 doi: 10.1038/s41586-021-03465-8

一次運動皮質(M1)は、微細運動の随意的制御に不可欠で、哺乳類の各種間で機能的に保存されている。本論文で我々は、ヒト、マーモセット、マウスの45万個以上の単一核のトランスクリプトームおよびエピゲノムのハイスループットプロファイリングを用いて、この脳領域の細胞組成が広く保存されており、トランスクリプトームとエピゲノムの間で一致する、進化的距離を反映した類似性を持つことを明らかにする。それぞれの神経細胞タイプおよび非神経細胞タイプの中核にある保存された分子的アイデンティティーから、種横断的な細胞タイプの合意分類と、種間で保存された細胞タイプ特性の推論が可能になった。一方で、全体的な特性は種間で保存されているにもかかわらず、各細胞タイプの比率、遺伝子発現、DNAメチル化、クロマチン状態における差など、多くの種依存的な特殊化も明らかになった。細胞タイプのマーカー遺伝子で種を超えて保存されているものは少数で、GABA作動性のシャンデリア細胞のような相同な細胞タイプで保存されている特徴の原因となる遺伝子や調節機構の候補が絞り込まれた。このトランスクリプトームの合意分類によって、全細胞パッチクランプ記録とRNA塩基配列解読と形態学的特性解析を組み合わせたpatch-seq法の使用が可能になり、非ヒト霊長類およびヒトの第5層において皮質から脊髄へ投射するベッツ細胞が特定され、それらの高度に特殊化した生理学的および解剖学的な性質が解析された。これらの知見は、哺乳類のM1に見られる細胞タイプの多様性のロバストな分子基盤を明示するとともに、細胞タイプの機能的アイデンティティーや種特異的な適応を生み出した遺伝子および調節経路を指し示している。

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