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材料科学:極めて異方性の高いファンデルワールス熱伝導体

Nature 597, 7878 doi: 10.1038/s41586-021-03867-8

集積回路の高密度化には、温度管理戦略と熱伝導率の高い材料が必要である。最近の技術革新には、速軸方向のホットスポットを除去して遅軸方向を断熱できる熱伝導異方性材料の開発が含まれる。しかし、大半の人工熱伝導体の異方性比は、天然の異方性材料のものよりはるかに小さい。今回我々は、ランダムに層間回転した大面積ファンデルワールス薄膜に基づく極めて異方性の高い熱伝導体を報告する。MoS2での室温での熱的異方性比は900に近く、これは、これまで報告された中で最も高い値の1つである。この高い異方性は、面に垂直な熱輸送を妨げる層間回転によって可能になっており、一方で、面内の熱伝導率は長距離層内結晶性によって高く維持される。面に垂直な方向の熱伝導率の測定値は、MoS2膜で57 ± 3 mW m−1 K−1、WS2膜で41 ± 3 mW m−1 K−1と非常に低かった。我々は、分子動力学シミュレーションを用いて、ガラスに似た一次元熱輸送を明らかにし、これらの値を定量的に説明する。逆に、これらのMoS2膜における面内熱伝導率は、単結晶の値に近かった。ナノ加工した金電極を今回の異方性膜で被覆することによって、電極の過熱が防止され、デバイス表面への熱の到達が阻止される。今回の研究は、結晶性層状材料における層間回転を、固体系における工学的に方向付けられた熱輸送の新たな自由度として確立するものである。

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