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神経科学:食物手掛かりによるAGRP空腹ニューロンの調節が学習を誘導する

Nature 595, 7869 doi: 10.1038/s41586-021-03729-3

アグーチ関連ペプチド(AGRP)を発現するニューロンは絶食により活性化され、これによって、食物の探索と摂取を動機付ける嫌悪状態である空腹が引き起こされる。AGRPニューロンの活動は摂食により基準値へと戻るが、それらには、食物手掛かりの感覚検知に続く急速で一過的な低下、腸内の栄養素に応じたゆっくりでより長く持続する低下、エネルギーバランスの回復に伴うさらにゆっくりとした永続的な低下という、3つの異なる時間スケールのものが存在する。このうち、食物手掛かりによる急速な調節は、その神経生物学的な基盤と意義が分かっていないため、特に興味深い。AGRPニューロンの活動は嫌悪性であることから、感覚手掛かりと結び付いた活動の低下は、行動を誘導するように働く可能性がある。これを評価するため、我々はまず、感覚手掛かりによる抑制を仲介する回路を特定し、次にそれを選択的に摂動して機能を決定した。本論文では、外側視床下部グルタミン酸作動性→背内側視床下部GABA作動性(γ-アミノ酪酸産生)→AGRPニューロン回路が、この調節を仲介していることを示す。この回路を阻害すると、食物手掛かりによるAGRPニューロンの抑制が減弱され、特に、感覚手掛かりによって開始される食物獲得タスクの学習が損なわれた。全く同じ水獲得タスクの学習は影響を受けなかったため、これは食物に特異的である。我々は、この食物特異的回路を介した嫌悪性AGRPニューロン活動の低下は、食物手掛かりの刺激明瞭度を増大させ、その結果、食物獲得タスクの学習が促進されると提案する。

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