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分子生物学:リボソーム上で早い段階で起こるトランスロケーション事象の構造基盤

Nature 595, 7869 doi: 10.1038/s41586-021-03713-x

タンパク質合成の間のペプチド鎖伸長では、アミノアシルtRNAの選択とトランスロケーション反応が、数千サイクルにわたり、連続して迅速に(1秒当たり2~20回)、しかも誤りの頻度を非常に低く保って(1段階当たり約10−3~10−5)行われることが必要である。鋳型となるmRNA上をコドン1個分ずつ進むリボソームの移動のリズムと忠実度は、生命の全てのドメインにわたって、基質である多様なmRNAとtRNAに対応しなくてはならない生体システムの動きの模範例である。今回我々は、単一分子蛍光法を用いて、細菌リボソーム上で早期に起こるトランスロケーション事象の複数の構造を捕捉した。得られた知見から、GTPアーゼである細菌の伸長因子Gが、GTPが結合した活性なコンホメーションをとっている間に、自発的に生じたリボソームのコンホメーションに特異的に結合し、ペプチジルtRNAを解放してトランスロケーションを開始させることが明らかになった。これらの結果は、トランスロケーション前のリボソーム複合体が本来的にたどる過程がタンパク質合成の速度を調節できることを示しており、トランスロケーション機構では、これまで考えられていたよりも遅い段階でエネルギーが使われることを示唆している。

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