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細胞生物学:凝集体を硬化させる薬剤はin vivoでのRSV複製を阻害する

Nature 595, 7868 doi: 10.1038/s41586-021-03703-z

生体分子凝集体は、細胞内を組織化する重要な原動力であることが明らかになりつつある。ヒト呼吸器合胞体ウイルス(RSV)などの多くのウイルスの複製は、封入体(IB)あるいはバイロプラズム(viroplasm)と呼ばれる、ウイルスが誘発した区画内で起こる。マイナス鎖RNAウイルスのIBは、相分離を介して生じる生体分子凝集体であることが、最近明らかにされた。今回我々は、ステロイドアルカロイドのシクロパミンとその化学的類似体A3Eが、IB凝集体の秩序を破壊して硬化させることによってRSVの複製を阻害することを示す。シクロパミンとA3Eのこの作用は、RSVの転写因子M2-1の1個の点変異によって妨げられた。IBの秩序破壊は数分以内に起こることから、これらの分子はIBの液体としての性質に直接作用すると考えられる。A3Eとシクロパミンは、RSVに感染したマウスの肺でRSVを阻害するので、凝集体を標的としてin vivoで活性を示す薬剤様小分子化合物と言える。これらのデータは、凝集体を硬化させる薬剤は、ウイルス複製に関してこれまでアンドラッガブルだった標的分子だけでなく、がんを引き起こすスーパーエンハンサーでの転写因子の作用も薬理学的に調節できる可能性がある。

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