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ゲノミクス:ボノボの高品質ゲノムによって改良されたヒト科の進化の解析

Nature 594, 7861 doi: 10.1038/s41586-021-03519-x

チンパンジーとボノボの分岐は、ヒト科における最近の種分化の数少ない例の1つである。今回我々は、ボノボ(Pan paniscus)の、完全に注釈付けされた高品質ゲノムアセンブリについて報告する。このゲノムアセンブリは、マルチプラットフォームゲノミクスの手法を適用することにより、参照ゲノムをガイドとして用いずに構築された。我々のボノボゲノムアセンブリでは、遺伝子の98%以上が完全に注釈付けされ、ギャップの99%が埋められており、部分重複の約半分と完全長の可動性遺伝因子のほぼ全てが解明されている。得られたボノボゲノムと他の類人猿のゲノムの比較によって、ボノボ系統とチンパンジー系統を明確に区別する5569以上の固定された構造バリアントが特定された。我々は、ボノボ進化の最近数百万年間において喪失、構造変化、拡大が起こった遺伝子に注目した。不完全な系統ソーティングの高分解能マップを作製することで、ヒトゲノムの約5.1%がチンパンジーまたはボノボに遺伝的に近縁であること、また、ゴリラやオランウータンなどのより深い系統発生を考慮した場合は、このゲノムの36.5%以上に不完全な系統ソーティングが認められることが推定された。我々はさらに、ヒトとチンパンジー、あるいはヒトとボノボの間に見られる不完全な系統ソーティング部分の26%がランダムには分布しておらず、クラスターを形成した部分の遺伝子は、ゲノムの他の部分と比べてアミノ酸置換が著しく過剰であることを明らかにする。

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