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微生物学:マイコバクテリアVII型分泌装置の構造と動態

Nature 593, 7859 doi: 10.1038/s41586-021-03517-z

結核菌(Mycobacterium tuberculosis)は、ヒトが罹患する最も重要な感染症の1つの原因で、毎年140万件の死亡を引き起こす。その特化したタンパク質輸送系は、VII型分泌装置(T7SS)として知られ、結核菌の毒性の中核であり、マイコバクテリア細胞のエンベロープを通過する栄養素や代謝物の輸送にも不可欠である。今回我々は、結核菌T7SSの無傷の内膜複合体の構造を示す。2.32 MDaのESX-5集合体は165本の膜貫通ヘリックスを含んでいるが、これがMycP5プロテアーゼによって3つの二量体からなる三量体として再構築され、安定化される仕組みが明らかになった。MycP5の三量体は、3つのEccB5二量体から形成されたペリプラズムの中央のドーム状チャンバーの頂を覆っていて、MycP5のタンパク質分解部位は空洞の方を向いている。このチャンバーは、分泌およびプロセシングのための中心的導管らしい。MycP5を欠く複合体は、ペリプラズム中のEccB5集合体が壊れて柔軟性が増大することを示していて、これは複合体の完全性にMycP5が重要であることをはっきり示している。EccB5–MycP5からなるチャンバーの下には、EccC5ATPアーゼの二量体がおのおの4本の膜貫通ヘリックスからなる3つの束にまとめられて、これらが中央の分泌チャネルと思われる箇所をふさいでいる。細胞質にある個々のEccC5ドメインは、2つの異なる構造をとっており、これらはおそらく異なる分泌状態を反映しているのだろう。我々の研究は、以前に報告されたことのないタンパク質輸送機構を示唆していて、この重要なヒト病原菌に対する薬剤の開発を助ける構造学的基盤を提供するものだ。

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