Review

微生物遺伝学:治療標的としてのウイルスの非従来型遺伝子発現機構

Nature 593, 7859 doi: 10.1038/s41586-021-03511-5

ヒトゲノムの大部分が非コード塩基配列と調節塩基配列で構成されているのとは異なり、ウイルスは、コード塩基配列と調節塩基配列の効率を高めつつ小さなゲノムサイズを維持するという制約の中で進化してきた。その結果、ウイルスは、従来型の遺伝子–タンパク質産生過程の1つ以上の段階を変化させた転写や翻訳の戦略を用いている。こうしたウイルス遺伝子発現の代替戦略[遺伝子のリコーディング(再コード化)としても知られる]は、専用のウイルス酵素または宿主因子の利用(宿主依存性として知られる)によって特異的にもたらされ得る。こうした独特な酵素活性や宿主因子の標的化は、ウイルスの脆弱性を顕在化させ、新たな抗ウイルス療法を設計するためのパラダイムを提供する。本総説では、ウイルスにおける遺伝子とタンパク質の非従来型発現のタイプと機構を概説し、今後の基礎的な機構研究が、ウイルス根絶を目指したトランスレーショナルな取り組みにどのように情報を提供し得るかについて展望を示す。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度