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がん:新たに診断されたグリオーマでの変異型IDH1を標的とするワクチン

Nature 592, 7854 doi: 10.1038/s41586-021-03363-z

変異型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ1(IDH1)は、びまん性グリオーマ(神経膠腫)の分子的に異なるサブタイプの特徴である。グリオーマで最もよく見られるIDH1変異はコドン132に影響を及ぼし、IDH1(R132H)をコードしており、これは主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスII上に提示される共通したクローン性ネオエピトープを持つ。IDH1(R132H)特異的なペプチドワクチン(IDH1-vac)は、同系MHCヒト化マウスでIDH1(R132H)+の腫瘍に対して効果のある、特異的なヘルパーT細胞治療反応を誘発する。今回我々は、世界保健機関(WHO)グレード3と4のIDH1(R132H)+アストロサイトーマ(星細胞腫)であることを新規に診断された33人の患者で行った多施設単群非盲検ヒト初回投与(first-in-human)第I相試験について報告する[Neurooncology Working Group of the German Cancer Society trial 16(NOA16);ClinicalTrials.gov登録番号:NCT02454634]。この試験は、主要評価項目(安全性)を満たし、ワクチンに関連した有害事象はグレード1のものだけだった。ワクチン誘発性の免疫応答は、複数のMHC対立遺伝子にわたり、患者の93.3%で観察された。3年間の無憎悪率と無死亡率は、それぞれ0.63と0.84で、免疫応答を示した患者での2年間の無憎悪率は0.82だった。また、免疫応答が見られなかった2人の患者では、最初の診断から2年以内に腫瘍の進行が見られた。ワクチン誘発性のIDH1(R132H)特異的T細胞応答の期間とレベルを組み入れた変異特異性スコア(mutation-specificity score)は、治療前の腫瘍組織でのIDH1(R132H)ネオアンチゲンの腫瘍内提示と関連していた。偽進行が高頻度で見られ、これは腫瘍内炎症反応の存在を示している。偽進行は、ワクチン誘発性の末梢性T細胞応答の増加と関連していた。単一細胞RNAとT細胞受容体の塩基配列解読の組み合わせから、偽進行を示した患者では、腫瘍浸潤性CD40LG+とCXCL13+ヘルパーT細胞クラスターの大部分を占めるのが、単一のIDH1(R132H)反応性T細胞受容体であることが明らかになった。

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