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社会科学:世界の学習データを用いて人的資本を測定する

Nature 592, 7854 doi: 10.1038/s41586-021-03323-7

人的資本、すなわち個人の知識および技能に関連する資源は、経済発展の極めて重要な構成要素である。人的資本の形成を理解して追跡するには、世界各国間で比較が可能な学習の指標が必要で、国際的な学力テストの使用の拡大は、この方向への重要な一歩である。しかし、そうしたテストが実施されているのは主に先進国で、そのため、人的資本の形成によって得るものが最も大きいと考えられる開発途上国での学習パターンの分析が難しくなっている。今回我々は、こうした指標データの不足を補うため、2000~2017年における164か国の学習に関する世界的に比較可能なデータベースを構築した。含まれるデータは世界人口の98%を網羅しており、対象国の3分の2を開発途上国が占めている。我々はこのデータセットを用いて、優先的に取り組むべき「持続可能な開発目標」の1つである学習の世界的進捗が、初等および中等教育の就学者数増加にもかかわらず、依然として限定的であることを示す。学校教育の質に関する直接的な指標を含む関連付けの手法を用いることで、国家間の収入の差を説明する上で、人的資本の役割は5分の1~2分の1と推定された。この結果は、文献上の既報の論文で示されたさまざまな推定値の中では中間に位置する。我々はまた、平均推定値によって、さまざまな国や地域の間の収入分類に関連する大きな不均一性が隠されていることを示す。この不均一性は、経済発展において人的資本が担う役割を分析する際の、さまざまな経済開発段階にある国を含めることの重要性を強調している。さらに我々は、今回のデータベースが、ペンワールドテーブルのバージョン9.0(Penn world tables version 9.0)および国連の人間開発指数(HDI)に含まれている現在の指標よりも、経済成長とより密接に関連した人的資本の指標となることを示す。

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