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実験物理学:ミューオンへリウム4イオンを用いたα粒子の電荷半径の測定

Nature 589, 7843 doi: 10.1038/s41586-021-03183-1

水素に似た原子系のエネルギー準位は、極めて高い精度で計算できる。そうした準位の計算は、量子力学的な解から出発して長年にわたり精度が改善されてきており、電子スピン、相対論的効果や量子場の効果、原子核の複雑な構造に伴うわずかなエネルギーシフトが含まれるようになった。原子核の構造によって生じるこうしたエネルギーシフトは、負のミューオンと原子核で形成される水素に似た系では非常に大きくなるため、こうしたミューオンイオンの分光測定を用いて、原子核の構造を高い精度で調べることができる。今回我々は、ミューオンヘリウム4イオンにおける2つの2S–2P遷移の測定から、α粒子の二乗平均平方根電荷半径を高い精度で決定し、1.67824(83)フェムトメートルという値を得たことを示す。原子分光によって決定された今回の値は、電子散乱から得られた値と非常によく一致しているが精度は4.8倍高く、そのため、少数核子系の理論、格子量子色力学、電子散乱の基準となる。またこうした一致は、陽子の電荷半径の最近の決定結果に沿う形で、陽子半径の謎を説明するために提案されている、標準模型を超えるいくつかの理論に制約を課すとともに、軽いミューオン原子やミューオンイオンの分光測定法を原子核の性質を調べる高精度ツールとして確立するものである。

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