Article

免疫学:B細胞においてIFITM3はPIP3の足場として機能してPI3Kシグナル伝達を増幅する

Nature 588, 7838 doi: 10.1038/s41586-020-2884-6

IFITM3(interferon-induced transmembrane protein 3)はこれまでに、ウイルス感染を阻止するエンドソームタンパク質であることが明らかになっている。今回我々は、B細胞性の白血病やリンパ腫の患者からなる臨床コホートにおいて研究を行い、IFITM3が転帰不良の強力な予測因子であることを突き止めた。正常な静止状態のB細胞では、IFITM3は最小限に発現し、主にエンドソームに局在していた。しかし、B細胞受容体(BCR)が抗原に結合すると、IFITM3の発現とIFITM3のTyr20のリン酸化の両方が誘導され、その結果、細胞表面にIFITM3が蓄積した。B細胞性白血病では、発がん性キナーゼがIFITM3のTyr20をリン酸化し、これによってIFITM3の細胞膜への構成的局在化が引き起こされた。マウスモデルでは、Ifitm3−/−ナイーブB細胞は正常な数が発生したが、胚中心の形成と抗原特異的抗体の産生は障害された。白血病やリンパ腫の発症を誘導するがん遺伝子は、Ifitm3−/−B細胞を形質転換させなかった。逆に、リン酸化を模倣した変異型IFITM3(Y20E)は、発がん性PI3Kシグナル伝達を誘導し、前悪性状態のB細胞の形質転換を開始させた。機構についての実験からは、IFITM3はPIP3の足場およびPI3Kシグナル伝達の中心的な増幅因子として機能することが明らかになった。PI3Kシグナルの増幅はIFITM3に依存していて、IFITM3の保存された細胞内ループの2つのリシン残基(Lys83とLys104)がPIP3蓄積の足場として用いられている。Ifitm3−/−B細胞の脂質ラフトにはPIP3がほとんどなく、このため60種類を超える脂質ラフト関連表面受容体の発現異常が引き起こされ、BCRシグナル伝達や細胞接着が障害されていた。我々は、B細胞が抗原に遭遇した後に起こるIFITM3のリン酸化が、エンドソームにおける抗ウイルス性エフェクター機能から、細胞表面におけるPI3K増幅ループへの動的な切り替えを誘導していると結論する。IFITM3に依存したPI3Kシグナル伝達の増幅は、部分的にはBCRの下流で機能して、抗原に高い親和性を持つB細胞の迅速な増殖に不可欠である。さらに、複数のがん遺伝子が、IFITM3に依存して、PIP3依存性シグナル伝達複合体を組み立て、悪性形質転換のためにPI3Kシグナル伝達を増幅する。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度