Article

素粒子物理学:LHCにおけるハドロン間の強い相互作用の解明

Nature 588, 7837 doi: 10.1038/s41586-020-3001-6

現在の原子核物理学の主要課題の1つは、さまざまなクォーク構成のハドロンの間に働く有効相互作用を第一原理から理解することである。初の成功は、離散的な時間空間格子上のクォークとグルーオンの力学を解く手法によって達成された。実験的には、ハドロンを互いに散乱させることによって、強い相互作用の力学が研究されてきた。そうした散乱実験は、不安定なハドロンでは困難もしくは不可能であるため、質の高い測定は、アップクォークとダウンクォークを含むハドロンに限られてきた。今回我々は、CERNの大型ハドロン衝突型加速器(LHC)において、超相対論的陽子–陽子衝突で生成されたハドロン対間の運動量空間における相関の測定が、あらゆる不安定ハドロン対の相互作用力学の不足情報を得るための精密な手法であることを実証する。具体的には、ストレンジクォークを含むバリオン(ハイペロン)の相互作用の事例を挙げる。我々は、陽子–オメガバリオン相関の精密測定を用いて、このハドロン–ハドロン対の強い相互作用の効果が、格子計算による予測と同程度の精度でいかに研究でき、また、そうした予測といかに比較できるかを示す。LHCにおける陽子–陽子衝突で特定された多数のハイペロンは、短い粒子間距離(約1フェムトメートル)の正確なモデリングと相関関数の正確な予測と共に、核子–ハイペロン相互作用の短距離部分の詳細な決定を可能にする。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度