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ゲノミクス:オオムギのパンゲノムから明らかになった突然変異育種の隠れた遺産

Nature 588, 7837 doi: 10.1038/s41586-020-2947-8

遺伝的多様性は、作物改良のカギである。しかし、ゲノム構造の多様性が広範であるために、単一の参照ゲノムアセンブリでは、作物種が持つ塩基配列多様性の全体像(「パンゲノム」と呼ばれる)を捉えることができない。従って、複数の高品質な塩基配列アセンブリは、パンゲノムの基盤に不可欠な構成要素となる。オオムギ(Hordeum vulgare L.)は、栽培の長い歴史を持つ重要な穀類作物であり、農業と気候に関する幅広い条件に適合している。今回我々は、オオムギの世界的な多様性を代表するものとして選択した20品種(在来種、栽培品種、野生オオムギからなる)の遺伝子型を対象に、染色体規模での塩基配列アセンブリを構築したことについて報告する。我々はゲノム上の存在/非存在変異をカタログ化し、ジーンバンクの300アクセッションの全ゲノムショットガン塩基配列解読から、量的遺伝解析を行うための構造変異の使用について検討した。その結果、多数の大規模な逆位多型が見つかり、現行のエリートオオムギ品種の遺伝資源において高頻度に見られる2つの逆位について詳しく解析した。1つはおそらく突然変異育種の産物であり、もう1つは地理的範囲の拡大に関与した座位と密接に関連していた。今回得られた第一世代のオオムギのパンゲノムによって、これまでは隠れていた遺伝的多様性を遺伝学的研究や育種に利用できるようになる。

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