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分子生物学:核小体のRNAポリメラーゼIIがリボソームのバイオジェネシスを促進する

Nature 585, 7824 doi: 10.1038/s41586-020-2497-0

タンパク質を作り出すのは、タンパク質とRNA分子からなる巨大分子複合体であるリボソームで、リボソームは核内の核小体と呼ばれる重要な区画で組み立てられる。これまでのモデルでは、リボソームの成分であるリボソームRNA(rRNA)の発現に直接関わる酵素は、RNAポリメラーゼIとIII(Pol IとPol III)だけであるとされてきた。これに対し、今回我々は、ヒト核小体内のRNAポリメラーゼII(Pol II)がrRNA遺伝子の近くで作用し、rRNA遺伝子の発現を促進していることを明らかにする。Pol IIは、神経変性に関連する酵素セナタキシンの助けを受けて、核小体のrRNA遺伝子両側の遺伝子間領域に、Rループ構造として知られている三本鎖核酸構造からなる遮蔽物を生じさせる。この遮蔽物が、核小体の構成を破壊してrRNAの発現を阻害するsincRNA(sense intergenic noncoding RNA)をPol Iが作り出すのを妨げる。この破壊的なsincRNAは、Pol II阻害、セナタキシンの喪失、ユーイング肉腫、もしくはRNアーゼH1とeGFPとdCas9が関わる実験系(我々はこれを「赤いレーザー」と呼んでいる)を介した座位関連Rループ構造抑制によって、抑制が解除される。我々はリボソームのバイオジェネシスを駆動する核小体のPol IIに依存した機構を明らかにし、ノンコーディングRNAによる核小体の破壊と疾患との関連を突き止め、座位を標的とするRループの調整方法を確立した。これらの知見は、主要なRNAポリメラーゼ間での役割分担に関するこれまでの説の再検討につながるもので、核小体のPol IIがタンパク質合成や核の組織化に重要な役割を果たしていて、健康や病気に関係する可能性があることを明らかにしている。

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