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遺伝学:テロメアからテロメアまでのヒトX染色体の完全なアセンブリ

Nature 585, 7823 doi: 10.1038/s41586-020-2547-7

現在のヒト参照ゲノム(GRCh38)は、20年にわたり改良が重ねられた、これまでに作成された中で最も正確で完全な脊椎動物ゲノムである。しかし、単一の染色体について末端から末端まで解読が完了したものはなく、数百か所のギャップが未解読のまま残っている。今回我々は、GRCh38の連続性を超えるヒトゲノムアセンブリを、1本のヒト染色体のテロメアからテロメアまでのギャップのないアセンブリと共に提示する。これは、全胞状奇胎であるCHM13のゲノムのナノポア技術による高カバー率の超ロングリード塩基配列解読と、品質の改善と検証のための補完的な技術を組み合わせることで可能になった。我々はヒトX染色体に焦点を合わせて取り組み、セントロメアのサテライトDNAの塩基配列(約3.1 Mb)を再構築し、また、ヒト偽常染色体領域やアンプリコン配列を複数含むがん精巣遺伝子ファミリー(CT-XやGAGE)の新しい塩基配列など、現在の参照ゲノムで残っている29か所のギャップを埋めた。これらの塩基配列は、今後のヒト参照ゲノムの情報資源に統合されるだろう。さらに、完全なX染色体とナノポア技術による超ロングリードデータを組み合わせることで、複雑な縦列リピートやサテライト塩基配列にわたるメチル化パターンのマッピングが可能になった。我々の結果は、現在、完全なヒトゲノム解読の完了が手に届く範囲にあることを実証しており、今回提示したデータは、ヒトの他の染色体の解読を完了するための進行中の取り組みを促進すると考えられる。

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