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原子物理学:短寿命放射性分子の分光法

Nature 581, 7809 doi: 10.1038/s41586-020-2299-4

分子分光法によって、自然界の基本法則を探求し、標準模型を超える新たな素粒子物理学を探索する機会が得られる。1個以上の構成原子が放射性原子核を有する放射性分子には、重くて変形した核が含まれている場合があり、これによって、パリティ対称性や時間反転対称性の破れの効果を調べるための高い感度が得られる。一フッ化ラジウム(RaF)は、レーザー冷却に適した電子構造を持ち、高精度の分光研究での使用に道を開くと予想されるため、特に興味深い。さらに、八重極変形したラジウム同位体を含む分子では、対称性を破る核モーメントの効果が大きく増強される。しかし、RaFの研究は、ラジウムの安定同位体がないために妨げられてきた。今回我々は、短寿命の放射性分子を調べる実験手法を提示する。この手法では、寿命がわずか数十ミリ秒の分子の測定が可能になる。CERNのISOLDEイオンビーム施設で共線共鳴イオン化を用いて、同位体的に純粋なさまざまなRaF分子のエネルギー準位の低い電子状態が測定された。得られた結果は、これらの分子に適したレーザー冷却システムが存在することを示す証拠を与えており、こうした系の高精度研究への重要な一歩となった。今回の知見によって、基礎物理学を調べるための短寿命放射性分子のさらなる研究が可能になるだろう。

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