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ヒト遺伝学:遺伝医学および集団遺伝学のための構造バリアント参照データセット

Nature 581, 7809 doi: 10.1038/s41586-020-2287-8

構造バリアント(SV)はDNAの大きな断片を再配列させ、進化やヒト疾患に重大な結果を引き起こす可能性がある。国立バイオバンク、疾患関連研究、臨床遺伝学的検査のゲノム塩基配列解読への依存が増すにつれて、gnomAD(Genome Aggregation Database)などの集団参照データセットが一塩基バリアント(SNV)の解釈に不可欠になっている。しかし、高カバー率のゲノム塩基配列解読から得られたSVの参照マップで、SNVの参照マップに匹敵するものはない。今回我々は、gnomADにおける全世界のさまざまな集団(54%が非ヨーロッパ人)の1万4891のゲノムから構築した、塩基配列が解読されたSVの参照データセットを示す。我々は43万3371のSVの豊かで複雑な全体像を明らかにし、そこからSVがゲノム当たりのまれなタンパク質短縮の全事象の25~29%の原因であると推定した。機能を損なうSNVに対する自然選択と、タンパク質をコードする塩基配列を破壊あるいは重複させるまれなSVとの間には強い相関が見られ、これは、機能喪失に対して非常に耐性の低い遺伝子は遺伝子量の上昇にも敏感であることを示唆している。また、タンパク質を短縮させるSVに対する選択は全てのノンコーディング効果よりも強力であったが、シス調節エレメントのノンコーディングSVに対するそれほど大きくない選択も明らかになった。さらに、サンプルの3.9%に非常に大きな(1メガ塩基を超える)まれなSVが特定され、0.13%の人が臨床的に重要な偶発的所見の既存の基準を満たすSVを保有していると推定された。このSV情報資源は、gnomADブラウザを介して自由に利用でき、集団遺伝学、疾患関連研究、診断スクリーニングにおいて広く役立つであろう。

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