Article

疫学:低・中所得国での小児へのワクチンと抗生物質の使用

Nature 581, 7806 doi: 10.1038/s41586-020-2238-4

ワクチンは、治療に抗生物質が使われることの多い感染症を防止することなどによって、抗菌薬耐性という深刻な問題を軽減する可能性がある。しかし、予防接種が抗生物質の消費量に及ぼす影響、特に抗菌薬耐性がもたらす問題が最も大きい低・中所得国(LMIC)での影響については、ほとんど知られていない。今回我々は、世界保健機関(WHO)の予防接種拡大計画で最近接種が履行されたワクチンが、LMICの5歳以下の小児における抗生物質消費量を大幅に減少させたことを明らかにする。複数の大規模な家族研究から得られたデータの解析により、肺炎球菌結合型ワクチンと弱毒生ロタウイルスワクチンについて、標的であるそれぞれの病原体による疾病負荷が最も大きいことが分かっている年齢集団での、抗生物質の投与を必要とする急性呼吸器感染と下痢の症状に対して、肺炎球菌結合型ワクチンはその19.7%(95%信頼区間3.4~43.4%)を、弱毒生ロタウイルスワクチンはその11.4%(4.0~18.6%)を防御すると、我々は推定した。現在の予防接種率で考えると、LMICの5歳以下の小児での抗生物質が投与される症状について、肺炎球菌結合型ワクチンは毎年2380万例を、ロタウイルスワクチンは毎年1360万例を防ぐことになる。これらのワクチンのユニバーサルカバレッジの目標を達成することから生じる直接的な防御ならば、抗生物質の投与を要する病気の症状をさらに4000万例防げる可能性がある。これらの証拠は、抗菌薬耐性と闘う世界戦略の中でワクチン接種の優先順位が高いことを裏付けている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度