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微生物学:地球全域の生態系に由来する巨大なファージのクレード

Nature 578, 7795 doi: 10.1038/s41586-020-2007-4

バクテリオファージは、一般にはゲノムが小さく、複製を宿主細菌に依存する。今回我々は、さまざまな生態系に由来するDNAの塩基配列を解読し、長さが200キロ塩基(kb)を超えるファージゲノムを数百例発見した。中には長さが735 kbのゲノムもあり、これは我々の知る限り、これまで報告された中で最大のファージゲノムである。手作業によるキュレーションで、完全なゲノム(環状で欠落のないもの)が35例得られた。拡大された遺伝子レパートリーには、多様な、そしてこれまでに報告されたことのない複数のCRISPR–Cas系、転移RNA(tRNA)、tRNA合成酵素、tRNA修飾酵素、翻訳開始因子と伸長因子、リボソームタンパク質が含まれる。ファージのCRISPR–Cas系は宿主の転写因子や翻訳遺伝子を抑制する能力を有し、これは、翻訳を乗っ取って生合成をファージにコードされる機能へと向けるための、さらに大きな相互作用ネットワークの一部である可能性がある。また、一部のファージは、細菌のCRISPR–Cas系を転用して競合ファージを排除することがある。我々は、ヒトおよび他の動物のマイクロバイオームに加え、海洋、湖沼、堆積物、土壌、人工環境に由来する巨大なファージの主要なクレードを系統発生学的に定義した。巨大なファージが持つ大量の遺伝子は保存された生物学的戦略を反映しており、これらのファージは幅広い宿主域を有し、地球のさまざまな生態系にわたって広く分布していると、我々は結論する。

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