Article

微生物学:原核生物と真核生物の境界に位置するアーキアの分離

Nature 577, 7791 doi: 10.1038/s41586-019-1916-6

真核生物の起源はいまだ明らかにされていない。最新のデータは、「アスガルド類」と呼ばれる系統のアーキアから真核生物が進化した可能性を示唆している。アスガルド類アーキアのゲノムには真核生物様の特徴が報告されているが、培養株および関連する生理学的知見が得られていないため、アーキアから真核生物への進化の道筋はいまだ解明されていない。本論文では、ロキアーキオータ門に属するアスガルド類アーキアを10年以上かけて深海堆積物から分離したことを報告する。我々が「Candidatus Prometheoarchaeum syntrophicum」と名付けたこのアーキアのMK-D1株は、増殖速度が極度に遅い嫌気性の極小球菌(直径約550 nm)であり、栄養共生によってアミノ酸を分解する。アスガルド類アーキアには真核生物様の細胞小器官が存在すると示唆されていたが、この分離株の細胞内部には小器官様の構造体は認められなかった。代わりに、このアーキアの細胞形態は複雑であり、長くて分岐がある独特の突起を有する。培養およびゲノム解析から得られたデータ、ならびに既存の文献の合理的な解釈に基づき、我々は真核生物の誕生について、仮説モデル「entangle–engulf–endogenize(巻き込み–飲み込み–内部で発達)モデル(別名E3モデル)」を提案する。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度