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がん遺伝学:転移性固形腫瘍の全がん全ゲノム解析

Nature 575, 7781 doi: 10.1038/s41586-019-1689-y

転移性がんは主要な死因の1つで、治療効果の低さと関連付けられている。個別化治療の適応や過剰治療の減少、転帰の改善を促すためには、後期のがんの特徴をよりよく理解することが必要である。今回我々は、我々の知る限り最大の、転移性固形腫瘍ゲノムに関する全がん研究について報告する。これらのゲノムデータには、腫瘍組織と正常組織の対2520組の全ゲノム塩基配列解読データが含まれており(解析深度の中央値は腫瘍組織で106×、正常組織で38×)、7000万以上の体細胞バリアントが調べられた。転移性病変に特徴的な変異は病変間で大きく異なっており、原発腫瘍タイプを反映する変異と、高頻度(56%)の全ゲノム重複事象が含まれていた。個々の転移性病変は比較的均一であり、ドライバー変異の大部分(96%)はクローン性で、最大80%の腫瘍抑制遺伝子で両対立遺伝子が異なる変異機構により不活性化されていた。転移性腫瘍ゲノムでは、原発腫瘍と似た変異全体像やドライバー遺伝子が見られたが、個々の患者における治療応答性や抵抗性に関与する可能性のある特徴も見いだされた。また、臨床的に重要な関連性や、それらの潜在的な実用可能性を評価するための手法を実行したところ、62%の患者において、承認済みの治療や臨床試験中の治療への患者の層別化に使える可能性のある遺伝的バリアントが特定された。本研究は、がんのプレシジョン・メディシンに向けた、包括的な腫瘍ゲノムプロファイリングの重要性を明らかにしている。

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