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流体力学:ブライスのパラドックスとマイクロ流体ネットワークのプログラム可能な挙動

Nature 574, 7780 doi: 10.1038/s41586-019-1701-6

マイクロ流体システムは現在、小型の流体操作デバイスとして精密に設計されており、ますます複雑なタスクを実行できるようになっている。しかし、マイクロスケールの流れは一般的に線形的性質を持つため、こうしたシステムの動作には多数の外部制御デバイスが必要なことが多く、一体化した制御機構の開発が妨げられている。今回我々は、加圧力と流量が非線形関係を示し、これを利用して入力圧力と出力圧力の両方またはいずれか一方を操作するだけで内部流の方向を切り替えることができるマイクロ流体ネットワークを設計して、この難題に取り組んだ。水を運ぶ硬質ポリマー製のチャネルを使って実現されたこれらの流体ネットワークは、実験的に裏付けられているブライスのパラドックスに似た流体挙動を示し、中間チャネルを閉じると、総流量が少なくなるのではなく多くなることが明らかになった。利用した挙動はスケーラブルで、この挙動を使って、多数のスイッチによる流れの経路選択を実現できる。今回の知見によって、マイクロ流体ネットワークに内蔵された制御機構の開発が前進する可能性があるため、携帯用システムの構築が促進されるとともに、ウエアラブルな医療技術から展開可能な宇宙システムまで、さまざまな分野で新たな応用が可能になるだろう。

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