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ウイルス学:致死的なブタ急性下痢症候群はコウモリ起源のHKU2関連コロナウイルスにより引き起こされた

Nature 556, 7700 doi: 10.1038/s41586-018-0010-9

野生動物の保有者からのウイルスの種間伝播は、ヒトや動物の健康にとって大きな脅威となる。コウモリは最も重要な新興ウイルス保有者の1つと考えられており、コウモリを起源とするコロナウイルスの中間宿主を介したヒトへの伝播が、影響の大きい新興人獣共通感染症である重症急性呼吸器症候群(SARS)の原因となった。本研究では、ウイルス学的、疫学的、進化的および実験的な証拠により、新たなHKU2関連コウモリコロナウイルスであるブタ急性下痢症候群コロナウイルス(SADS-CoV)が、中国の4つの農場で2万4693頭の仔ブタを死亡させたブタの致死的な病気の大規模な発生の原因となった病原体であることを示す。特に、その大発生がSARSパンデミックの発生源に近い広東省で始まったことは重要である。さらに、SADS関連CoVは、2013~2016年に広東省のコウモリの肛門から採取した標本の9.8%(591標本中の58)と96~98%の塩基配列同一性を持ち、これらの大部分はSARS関連CoVの保有者として知られるキクガシラコウモリ属の種(Rhinolophus spp.)のものだった。我々は、SADSとSARSの大発生には、地理学的、時間的、生態学的、病因論的な状況に著しい類似性があることを見いだした。この研究は、家畜や公衆衛生、経済成長の脅威となり得る将来的な大発生を軽減するために、コウモリにおけるコロナウイルスの多様性と分布を明らかにする重要性をはっきりと示している。

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