Letter

環境科学:数千万の小規模農家で持続可能な生産性を追求する

Nature 555, 7696 doi: 10.1038/nature25785

増加し続ける人口への持続的な食料の供給は大きな課題であり、小規模農業が多数を占める地域では特に困難である。局地的な成功例はあるものの、科学および証拠に基づく管理手法によって膨大な数の小規模農家を動員し、生産量と汚染に関する問題に同時に取り組むことは、これまで実行不可能であった。本論文では、中国の数千万に上る小規模農家を参加させて、収量の増加および環境パフォーマンスの向上のための改良型管理手法の採用につなげるという協調的な取り組みを行った結果について報告する。我々はまず、包括的な意思決定支援プログラムを用いて、中国の主要な農業生態学的区域の全てで野外試験を実施し、その地域に適応可能な推奨事項を作成した。農民にこれらの推奨事項の採用を働き掛けるために、1152人の研究者からなる中核的ネットワークと、多数の農業普及員および農業関連産業の従事者とが協力した。その結果、2005~2015年に452県の約2090万の農家が改良型管理手法を採用し、こうした手法が適用された農地の面積はこの間で累計3770万haに達した。トウモロコシ、イネ、コムギの平均収量は10.8~11.5%増加し、これで生じた穀類の純生産量は3300万tに及んだ。同時に、窒素の施用量は14.7~18.1%減少し、窒素肥料120万tが節減された。穀類生産量の増加および窒素肥料使用量の減少は、122億ドルの利益に相当した。反応性窒素の減少量は、介入なしでは6.0~6.4 kg N Mg−1(単位は作物1メガグラム当たりの窒素質量)であるのに対し、介入ありでは平均4.5~4.7 kg N Mg−1と推定された。トウモロコシ、イネ、コムギの温室効果ガス排出量は、介入なしではそれぞれ422 kg CO2 Mg−1、941 kg CO2 Mg−1、549 kg CO2 Mg−1だったが、介入ありではそれぞれ328 kg CO2 Mg−1、812 kg CO2 Mg−1、434 kg CO2 Mg−1だった。我々はさらに、860万の農家が参加した大規模調査およびシナリオ解析に基づき、改良型管理手法の実施が中国の食糧安全保障と持続可能性の展望にもたらし得る影響について明らかにする。

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