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分子生物学:RNAポリメラーゼIII転写開始の構造基盤

Nature 553, 7688 doi: 10.1038/nature25441

RNAポリメラーゼ(Pol)IIIは、転移RNAのプール全体や5SリボソームRNA、U6スプライソソームRNAなどの必須のノンコーディングRNAの転写を行っていて、がん細胞では脱調節していることが多い。Pol IIIによる遺伝子転写の開始には転写因子TFIIIBの活性が必要で、これによって転写活性のあるPol III転写開始前複合体(PIC)が形成される。今回我々は、Pol III PICの分解能3.4–4.0 Åでの電子顕微鏡再構築像と、遊離状態のアポPol IIIの分解能3.1 Åでの再構築像を示す。TFIIIBはDNAを完全に取り囲み、Pol IIIの構造を再編成している。また、TFIIIBのサブユニットBdp1の結合により、Pol III特異的サブユニットのC37とC34が配置し直されていて、それによりDNA開裂が促進される。ほどけたDNAはPol IIIの裂け目の両側に直接接触している。トポロジー的には、Pol III PICはPol II PICと似ているが、Pol I PICとはかなり異なっている。今回示された構造は、Pol III転写の第一段階だけでなく、遺伝子転写開始の広く保存された機構の基盤でもある分子機構を明らかにしている。

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