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ゲノミクス:まれな変異が多数の組織にわたって遺伝子発現に及ぼす影響

Nature 550, 7675 doi: 10.1038/nature24267

ヒトではまれな遺伝的バリアントが豊富に存在し、各個体の疾病リスクに関与すると予想されている。遺伝的関連研究は疾患感受性に関連する一般的な遺伝的バリアントの特定には優れているものの、このような研究はまれなバリアントの特定には実用的ではない。無害なまれなバリアントと病原性バリアントを識別する取り組みでは、遺伝暗号を利用して有害なタンパク質コード対立遺伝子が特定されているが、非コードバリアントについては類似の遺伝暗号は存在しない。従って、どういったまれなバリアントが表現型に影響を持つのかを確認することは非常に困難である。単一組織を用いた研究では、まれな非コードバリアントは極端な遺伝子発現と関連付けられてきたが、多数の組織にわたってそのような影響があるかどうかは分かっていない。今回我々は、GTEx(Genotype-Tissue Expression)プロジェクトのv6pリリースの全ゲノムと多数の組織のRNA塩基配列解読のデータを組み合わせて解析することにより、44のヒト組織で特定の1遺伝子の発現が極端なレベルを示す個体、つまり遺伝子発現で外れ値を示す個体を突き止めた。低発現の外れ値の58%および高発現の外れ値の28%は、その遺伝子の近くに保存されたまれなバリアントがあるが、それに対して、外れ値ではない遺伝子では近くに保存されたまれなバリアントを持つのは8%であることが分かった。さらに我々はRIVER(RNA-informed variant effect on regulation)を開発した。これはベイズ統計モデルの1つで、発現データを組み込むことで、ゲノム注釈付けのみを用いるモデルよりも高い精度でまれなバリアントの調節における影響を予測できる。以上より、我々はまれなバリアントが多数の組織にわたって大きな遺伝子発現変化に関与していることを実証し、個々のゲノムのまれなバリアントを解釈するための統合的方法を提供する。

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