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ゲノミクス:哺乳類におけるRNA編集の動的な状況と調節

Nature 550, 7675 doi: 10.1038/nature24041

A-to-I(アデノシンからイノシンへの)RNA編集は、ADAR酵素が仲介する保存された転写後の機構の1つで、RNA分子中のヌクレオチドを選択的に変換することによってトランスクリプトームを多様化させる。近年、多くの編集部位が発見されているが、大半の部位がどの程度編集されるかや、異なった生物学的状況の下で編集が調節される仕組みは、完全に解明はされていない。今回我々は、GTEx(Genotype-Tissue Expression)プロジェクトからの8551のヒト試料(552人の53の身体部位から得たもの)と、他の霊長類およびマウス由来の数百の試料について、RNAのA-to-I編集のプロファイルを詳しく調べ、動的な時空間パターンと新しいRNA編集調節因子群を発見した。非反復コード領域の編集レベルは、反復領域の編集レベルに比べて、組織間の違いが大きいことが分かった。全体的に見て、ADAR1は反復部位を、ADAR2は非反復コード部位を主に編集し、触媒活性を持たないADAR3は主にRNA編集の阻害因子として作用する。いくつかの組織について生物種間でRNA編集を比較したところ、編集レベルの主な決定因子は組織の種類ではなく、生物種であることが分かり、ほとんどの部位については、RNA編集にシス調節がより強力に働いていることが示唆されたが、少数の保存されたコード部位には、トランス調節がより強力に働いていた。さらに、ADAR1とADAR2の膨大な数の標的を詳しく解析することにより、in vivoでは多くの編集部位がADAR酵素によって異なった組織特異的調節を受けていることが示された。GTExデータをさらに解析したところ、編集を調節している可能性がある因子がいくつか判明した。例えば、AIMP2は、ADARタンパク質の分解を促進して、筋肉での編集を抑制する。これらの結果を総合することにより、A-to-I編集の複雑なシス調節、トランス調節についての手掛かりが得られる。

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