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疫学:ブラジルおよび南北アメリカ大陸でのジカウイルスの定着と潜在的伝播

Nature 546, 7658 doi: 10.1038/nature22401

南北アメリカ大陸でのジカウイルス(ZIKV)の伝播は、2015年5月にブラジル北東部で最初に確認された。ブラジルでは世界で最多のZIKA症例数(2016年12月24日までに20万症例以上)が報告されており、その症例の大部分が小頭症などの先天異常と関連していた(2016年12月31日までに2366例を確認)。ブラジルでZIKVが最初に検出されて以来、南北アメリカ大陸の45以上の国でZIKVの地元での伝播が報告されており、そのうちの24か国で重症のZIKV関連疾患が報告されている。しかし、小頭症の報告例で観察された傾向を解釈するには、ブラジルおよび南北アメリカ大陸でのZIKVの起源や流行歴の情報が重要であるにもかかわらず、それらについてはほとんど分かっていない。今回我々は、この問題に取り組むために、主としてブラジルで得られた54の完全あるいは部分ZIKAゲノムを作成し、2016年にブラジル北東部全域を回った移動型ゲノミクス研究室によって作成されたデータを報告する。解読されたゲノムの1つは、ブラジルで最初に確認されたZIKA感染のものである。ウイルスゲノムを生態学的データおよび疫学データと共に解析したところ、ZIKAは南北アメリカ大陸ではまだ検出されていなかった2014年2月までにはブラジル北東部に存在しており、そこから国の内外へ伝播した可能性が高いという推定が得られた。ブラジルからZIKVが国外に拡大したと推測される時期から、ZIKAを受容した地域での検出前の潜在的伝播の期間が示された。南北アメリカ大陸でのZIKV定着にブラジル北東部が役割を担ったことは、ZIKVの伝播能力についての地理的な解析やこのウイルスの基本再生産数の推定によってさらに裏付けられる。

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