Letter

生態学:マルハナバチの家系の生存は質の高い景観によって促進される

Nature 543, 7646 doi: 10.1038/nature21709

マルハナバチ(Bombus spp.)などの花粉媒介者は全球的に減少しており、その主な原因の1つは農業の集約化による生息地の消失である。花粉媒介者の生息地および個体数の回復を目指して、さまざまな国際的および国レベルでの取り組みが進められている。しかし、これらの取り組みが成功するかどうかは、対象となる生物種の個体群レベルの主要なパラメーター(例えば、生活環のある段階から次の段階への生存など)に対して、景観の変化がどのように影響するかの理解が重要な決め手になる。マルハナバチでは、野生のコロニーを系統的に見つけ出して継続的に観察することが難しいため、こうした理解が欠如している。我々は、生息地操作、土地利用と生息地の調査、分子遺伝学、個体群動態モデル化、および空間モデル化を組み合わせて用い、3種のマルハナバチの野外個体群について、ある年から次の年への家系の生存を解析した。本論文では、夏の働きバチから翌年春の女王段階への家系の生存が、出生コロニーから250~1000 m以内に存在する価値の高い採餌環境(春の花資源など)の割合が増すにつれ、著しく増大することを明らかにする。これは、マルハナバチ個体群では、生息地の質が、コロニーの生活環における連続する段階間での生存および持続に対して正の影響を与えることを示す証拠となる。さらにこれらの知見は、景観規模での季節を通した花資源の増大といった保全介入策は、農業景観の野生花粉媒介者にも正の影響をもたらすという考え方の裏付けにもなる。

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