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ウイルス学:ブラジル由来のジカウイルスに対するワクチンによる防御

Nature 536, 7617 doi: 10.1038/nature18952

ジカウイルス(ZIKV)はフラビウイルスの1種で、ブラジルや両アメリカ大陸で、現在流行を引き起こしている。ZIKVはヒトとマウスの両方で、胎児小頭症や子宮内胎児発育障害などの先天異常の原因として関連性が示されてきた。安全かつ有効なZIKVワクチンの迅速な開発は健康に関わる世界的な重要課題の1つだが、ZIKVの免疫学および免疫による防御の機構については現在ほとんど分かっていない。本論文で我々は、プラスミドDNAワクチンあるいは精製した不活化ウイルスワクチンによる1回の免疫感作で、ブラジル北東部の大発生に関わったZIKV株の感受性マウスへのチャレンジ感染が完全に防御されることを示す。このZIKV株は、マウスで胎盤を通過し、胎児小頭症などの先天性奇形を引き起こすことが最近示されている。我々はZIKVのprM-Env(pre-membrane and envelope)および一連の欠失変異体を発現するDNAワクチンを作製した。チャレンジ感染後にウイルス血症が検知できなかったことから判断して、prM-Env DNAワクチンはZIKVを完全に防御することができたが、欠失変異体はできなかった。そして防御の効率はエンベロープ特異的な抗体価と相関していた。ワクチンを接種されたマウスから精製したIgGを養子移入することで受動防御が付与され、また、ワクチンを接種されたマウスでCD4およびCD8 Tリンパ球を除去しても、この防御は妨げられなかった。これらの結果より、マウスでは、ZIKVチャレンジ感染に対する防御は、1回投与のサブユニットワクチンおよび不活化ウイルスワクチンで達成できること、そしてエンベロープ特異的抗体価が防御の重要な免疫学的相関因子となることが示された。我々の知見は、ヒトZIKVワクチンの開発がおそらく達成可能であることを示唆している。

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