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遺伝子工学:CRISPR関連DNA切断酵素Cpf1はCRISPR RNA前駆体のプロセシングも行う

Nature 532, 7600 doi: 10.1038/nature17945

細菌やアーキアで可動性遺伝因子に対する防御を行うCRISPR–Cas系は、RNAやDNAを標的として切断するためのさまざまな機構を進化させてきた。よく研究されているタイプI、IIおよびIIIは、それぞれ異なるCRISPR関連(Cas)タンパク質を用いて成熟CRISPR RNA(crRNA)を生成させ、侵入してきた核酸を障害する。タイプIとIIIでは、Cas6やCas5dがcrRNA前駆体の切断を行い、成熟したcrRNAは次いでCasタンパク質群(タイプIではCascade-Cas3、タイプIIIではCsmあるいはCmr)からなる複合体を誘導して、侵入してきたDNAやRNAを標的として切断する。タイプII系では、トランス活性化crRNA(tracrRNA)と塩基対を作ったcrRNA前駆体を、Cas9の存在下でRNアーゼIIIが切断する。こうして成熟したtracrRNA–crRNA二本鎖は次いでCas9を誘導して標的DNAを切断させる。本研究では、CRISPR–Cas免疫における新規な機構を明らかにする。Francisella novicidaのタイプV-A Cpf1は2種類の活性を持つ二重ヌクレアーゼで、crRNAの生合成と標的DNAの障害を特異的に行うことが分かった。Cpf1は、CRISPRリピート配列内に形成されたヘアピン構造上流でcrRNA前駆体を切断し、これによってcrRNA中間体が生成する。中間体はさらなるプロセシングを受けて成熟crRNAとなる。Cpf1は、非標的DNA鎖上の5′-YTN-3′側にあるPAM(protospacer adjacent motif)配列を認識し、次いで8個のヌクレオチドからなるシード配列を探し出すと、単一の成熟リピート-スペーサーcrRNAにより誘導されて標的DNA内に二本鎖切断箇所を導入し5′オーバーハング(突出)部位を生成させる。Cpf1のRNアーゼ活性とDNアーゼ活性は、crRNAリピート配列が作るヘアピン構造への配列特異的で構造特異的な結合を必要とする。Cpf1は、これら2種類のヌクレアーゼ反応に対してそれぞれ別の活性ドメインを用いて、マグネシウムあるいはカルシウムの存在下で核酸を切断する。本研究は、二重特異性を持ち、エンドリボヌクレアーゼとエンドヌクレアーゼとして働く新規な酵素ファミリーを見つけ出したもので、タイプV-Aはこれまでに報告されたCRISPR–Cas系の中で最小限の系であることを示している。

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