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構造生物学:低温電子顕微鏡によって明らかにされたInsP3Rチャネルのゲート開閉装置

Nature 527, 7578 doi: 10.1038/nature15249

イノシトール 1,4,5-トリスリン酸受容体(InsP3R)は広く存在するイオンチャネルで、細胞質でのCa2+シグナル伝達に関わっており、収縮から分泌、また増殖から細胞死に及ぶ広範囲にわたる細胞過程に必須である。数十年にわたる研究にもかかわらず、InsP3Rの構造機能連関の機構はまだ解明されていない。今回我々は、四量体である哺乳類InsP3R 1型チャネルのアポ状態について、我々が知るかぎりで初めての、ニア原子分解能(4.7 Å)低温電子顕微鏡構造を示す。こうした高い分解能によって、タンパク質骨格のほぼ85%をあいまいさなくたどることが可能になり、この1.3メガダルトンのチャネルのゲート開閉と調節に関係する構造要素を明らかにすることができた。Ca2+が通過する中央の経路は近縁のリアノジン受容体を含む他のイオンチャネルと類似していたが、細胞質内のカルボキシ末端は左巻のαヘリックスバンドルという他に見られない形に配置されていて、近傍にある複数のサブユニットのアミノ末端ドメインと直接相互作用している。この立体構造は、チャネルゲート開閉の細胞内シグナルによるアロステリック調節という分子機構を示唆している。

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