Letter

ナノ生物工学:ナノ粒子を血小板膜で覆うことによる生体界面の作製

Nature 526, 7571 doi: 10.1038/nature15373

機能性ナノ粒子の開発は、予想外の材料特性や生物学的事象によって妨げられることがある。複雑な生理関連系では、こうしたことがナノ粒子の実効性に影響しかねない。ボトムアップ型ナノ工学と表面化学の進歩にもかかわらず、還元主義的な機能付与という手法は自然界に存在する複雑な界面の再現には不適切であり、外来物質の露出が避けられない。本論文では、ヒト血小板の細胞膜に覆われたポリマー状ナノ粒子の作製について報告する。血小板細胞膜は独特な細胞断片群で、病気に関係するさまざまな基質に接着する。この方法で調製されたナノ粒子は、細胞膜の外表面が外側を向く単層の膜で覆われ、血小板に関連する免疫調節性抗原と接着用抗原を備えている。この血小板膜被覆ナノ粒子は、被覆のない粒子に比べるとマクロファージ様細胞による取り込みが少なく、ヒト自己血漿中では粒子による補体活性化が起こらない。この被覆ナノ粒子はまた、ヒトや齧歯類の被損傷血管系への選択的な接着や、血小板接着性病原体への強い結合など、血小板によく似た性質を示す。冠動脈再狭窄の実験的ラットモデルでドセタキセルを、全身性細菌感染のマウスモデルでバンコマイシンをこの血小板模倣ナノ粒子を用いてそれぞれ投与したところ、治療効果が高まった。この血小板膜被覆法によって可能になった多面的生体界面の作製は、疾患特異的な薬剤送達に適した機能性ナノ粒子開発のための新しい方法となる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度