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材料科学:マグネシウムの高い硬化と低い延性の起源

Nature 526, 7571 doi: 10.1038/nature15364

マグネシウムは軽量の構造用金属であるが、機構が説明されていない異常な転位現象と塑性現象に関連して、延性が低いため、省エネ型の軽量構造を形成したり、それに利用したりするのが難しい。我々は、密度汎関数理論によって確認された原子間ポテンシャルを使って長時間の分子動力学シミュレーションを行い、これまで説明されていないこの現象の基本的な起源を明らかにした。本論文では、極めて重要な〈c + a〉転位(〈c + a〉はすべりの大きさと方向を示す)は容易すべりのピラミッドII面上で準安定となることを示す。この転位は、低エネルギーの基底面の分解した3つの不動な転位構造の1つへ熱的に活性化され応力に依存する転移を起こし、こうした不動な転位構造は塑性変形に寄与できず、他の全ての転位の運動に対して強い障害物となることが分かった。この転移はマグネシウムに固有であり、転位エネルギーの低下に駆動されるものであって、室温では非常に高い頻度で起こると予測される。そのため、c軸ひずみに寄与できる主要な転位すべり系が全て除去され、マグネシウムの高い硬化と低い脆性につながる。従って、容易すべりの準安定転位から基底面の分解した不動な構造への転移が起こる時間を長くし、温度を上げれば、延性の増大を実現できる。今回の結果から、延性の高いマグネシウム合金の設計指針に必要な基本的な知見が得られた。

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