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ゲノミクス:系統的に離れた複数の生物種にわたる遺伝子調節の情報および回路の比較解析

Nature 512, 7515 doi: 10.1038/nature13668

後生動物では、種間の進化的距離が大きいにもかかわらず、生物学的に顕著な共通性が認められ、そのためもあってショウジョウバエや線虫がヒト生物学研究のモデル生物として成立している。これまで、個々のDNAエレメントや因子の研究で遺伝子調節の類似性が調べられてきたが、転写調節特性の基本原理に関する大規模な比較解析は行われていなかった。本研究では、ヒトで165個、線虫で93個、ショウジョウバエで52個の転写調節因子について全ゲノムの結合部位をマッピングし、これら3種において、さまざまな細胞種、発生段階および条件下で計1,019種類のデータセットを作成した。このうち498種類(48.9%)は今回初めて示されたものである。得られたデータセットから、調節ネットワークの構造特性が極めてよく保存されていることや、相同な調節因子ファミリーがin vivoで同様の結合モチーフを認識し、いくつかの類似した共会合を示すことが明らかになった。今回の結果は、個々の因子についてこれまで観察されていた遺伝子調節特性が、後生動物の遺伝子調節の一般原理であり、個々のネットワーク接続の機能的分岐が大きいにもかかわらず極めてよく保存されていることを示唆している。今回得られた調節回路の比較マップは、モデル生物の生物学的特性の調節基盤と、それらがヒトの生物学的特性、発生および疾病とどのように関連するのかについて解明を進めるのに役立つだろう。

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