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進化:最初期のステム哺乳類の摂餌生態に見られる食餌の特殊化と多様性

Nature 512, 7514 doi: 10.1038/nature13622

哺乳類の出現と放散は生命史の重要な事象であり、化石からはその出現が2億2000万年前の三畳紀後期とされている。哺乳類進化の最初の5000万年を代表し、最も原始的な分類群を含む最初期の哺乳類は、広食性の食虫動物だったと一般に考えられている。これは、化石記録内で異歯性の歯列、二生歯性および歯骨–側頭鱗顎関節などの重要な新機軸の出現と関連付けられている哺乳類放散の第一段階が、生態形態学的な多様化から切り離されていたことを意味する。その後の中生代哺乳類では極めて完全な化石標本が発見されており、遊泳や穴堀り、掘り返し、さらには滑空への適応を含め、かつて推測されていた以上の生態形態学的多様性が明らかになったが、それ以前の哺乳類にはさほど良好な保存状態の化石が存在せず、その生態形態学的多様性に関する確実な分析はこれまで行われていない。本論文では、シンクロトロンX線断層撮影法と、生体力学的特徴、有限要素モデルおよび歯の微小摩耗構造の分析を用いた、統合的解析の結果を示す。哺乳類の進化に関する議論で極めて重要な最初期の哺乳形類であるモルガヌコドン(Morganucodon)とキューネオテリウム(Kuehneotherium)の2分類群の間には、機能および食餌生態の大きな差異が見つかった。モルガヌコドンは相対的にキューネオテリウムよりも強力で丈夫な顎を持ち、「硬め」の獲物を食べ、鞘翅類を大量に摂食する現生小型哺乳類と類似していた。一方、キューネオテリウムは、鱗翅類などの「軟らかい」獲物を捕食する現生の狭食性動物や、硬い獲物と軟らかい獲物の両方を捕食する現生の混食性動物(mixed feeder)に類似していた。今回の結果から、哺乳類放散の基部に関するこれまで知られていなかった栄養的特殊化が明らかになった。従って、最初期の哺乳形類でもすでに、形態的、機能的および生態学的な多様化が始まっていた。このパターンは、現在の一般的な見方とは対照的に、哺乳類進化の最初期段階の系統分岐が生態形態学的特殊化およびニッチ分割を伴っていたことを示唆している。

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