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神経科学:Piezo2はメルケル細胞の機械刺激伝達に必要である

Nature 509, 7502 doi: 10.1038/nature13251

圧力や接触などの機械的な触刺激を感知する仕組みについては、まだ全く分かっていない。メルケル細胞と神経突起の複合体は、皮膚での軽い刺激の受容器であり、Aβ感覚繊維の遅順応応答を介して、物体の詳細をシグナルに変換する。この機械受容複合体は、50年近く前に、軽い刺激の感知に必須の役割を担っていることが認められた。しかし、メルケル細胞や求心性神経繊維自体が機械刺激を感知しているのかどうかについてはまだ議論が続いていて、機械刺激伝達の分子機構は不明である。メルケル細胞とそれに接触している求心性神経の間には、シナプス様の接合が観察されているが、メルケル細胞が本質的に機械受容性であるのか、またメルケル細胞はそうした情報を隣接する神経へ迅速に伝達できるのかは分かっていない。本研究では、メルケル細胞はin vitroで触覚を感知して電流を生じることを示す。Piezo2は、機械刺激で活性化される陽イオンチャネルで、メルケル細胞で発現している。我々は、皮膚のPiezo2を欠失するが、感覚神経のPiezo2は欠失しないようにマウスを操作して、メルケル細胞の機械刺激感受性がPiezo2に完全に依存していることを示した。このようなマウスでは、メルケル細胞と神経突起の複合体を介したin vivoでの遅順応応答で静的な神経発火頻度の低下が見られ、さらにこのマウスは軽い触刺激に対する応答行動が中程度に低下していた。我々の結果は、Piezo2がメルケル細胞の機械刺激伝達チャネルであり、哺乳類でPiezoチャネルが機械感覚に生理的役割を持つことの初めての証拠を示すものである。さらに、今回のデータは、メルケル細胞と神経支配する求心性神経の両方が一緒になって機械刺激受容体として働くとする2受容部位モデルの証拠を示している。この2受容体系は、任意の機械刺激に対して非常に精巧な応答を作り出せる変調機構を機械刺激受容複合体に提供している可能性がある。

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