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生物多様性:ニッチの占有はヒマラヤ山脈の鳴禽類の多様化を減速させる

Nature 509, 7499 doi: 10.1038/nature13272

種分化には一般に、分布域拡大、分布域の分断、および空間的に分離された個体群間の生殖的隔離の進展という3段階が含まれる。種分化はこの3段階の繰り返しに依存しており、それぞれの段階が新種形成の速度を制限している可能性がある。本研究では、どちらも分布域拡大の制限要因である生殖的隔離の進展と生態学的競争が、種分化に対して究極的な限界を設けているのかどうかを調べるため、ヒマラヤ山脈に生息する全ての鳴禽類の系統関係を推定した。その結果、ヒマラヤ東部で標高の勾配に沿って分布する全358種の系統発生に基づいて、体のサイズと形状の差異が放散の初期に進化したことが明らかになり、後から進化した1種によって標高帯が占有されたことも分かった。これらの結果は、ニッチ空間をめぐる、種の蓄積を制限するような競争と一致する。ヒマラヤ山脈では、この群集内でもそれ以外の場合でも、最も近縁度の高い種が平均して500万年以上も分離されており、この期間は生殖的隔離の完了に一般的に要する時間を超えているため、標高の次元でも生態的飽和に近づきつつあると考えられる。また、標高による分布は、標高帯ごとの多様化速度の差異によるのではなく、資源の入手可能性、特に節足動物の存在量によってうまく説明される。今回の結果は、種分化速度が究極的には、生殖的隔離が確立する速度ではなくニッチの占有(すなわち、資源をめぐる生態的競争)によって決まることを意味している。

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