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細胞生物学:クローン病で見られるAtg16l1変異体はカスパーゼ3による分解を促進する

Nature 506, 7489 doi: 10.1038/nature13044

クローン病は、消化管全体を巻き込む可能性がある衰弱性の炎症性腸疾患(IBD)である。オートファジー遺伝子ATG16L1のミスセンス変異をコードする一塩基多型(rs2241880、Thr300Ala)は、クローン病発症と強く関連している。ATG16L1の除去あるいは欠失の影響は、多くの研究によって明らかになっているが、Thr300Ala(T300A)変異体が分子レベルでどういう結果を招くのかは分かっていない。今回我々は、ATG16L1の第296番目から299番目のアミノ酸がカスパーゼ切断モチーフを形成していて、T300A(マウスではT316A)変異体がカスパーゼ3によるプロセシングに対するATG16L1の感受性を大幅に増加することを示す。ヒトおよびマウスのマクロファージでのデス受容体活性化あるいは飢餓誘導性代謝ストレスが、T300AあるいはT316A変異を持つATG16L1の分解を増加させ、その結果オートファジーが減少することが観察された。T316A変異体を持つノックインマウスでは、回腸の病原体であるYersinia enterocoliticaの排除が不十分になり、炎症性サイトカイン応答が増強された。一方、カスパーゼ3をコードする遺伝子Casp3の除去、あるいは部位特異的変異誘発によるカスパーゼ切断部位の除去によって、飢餓誘導性オートファジーと病原体排除が回復した。以上の結果は、高頻度で見られるリスク対立遺伝子の存在下でのカスパーゼ3活性化がATG16L1分解を促進し、細胞ストレス、アポトーシス刺激、オートファジー障害を統合的に引き起こして、これがクローン病を発症するように仕向けることを明らかにしている。

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