Letter

気候:大気中での硫酸–アミン粒子核形成の分子論的理解

Nature 502, 7471 doi: 10.1038/nature12663

微量の大気中蒸気からのエアロゾル粒子の核形成は、全球の雲の凝結核の半分を与えると考えられている。エアロゾルは太陽光を散乱したり、より小さいがより多くの雲粒子を作ったりすることで、気候の正味の寒冷化をもたらす可能性がある。小さい雲粒子が数多くあると、雲の色はより明るくなり、寿命は長くなる。人間活動に由来する大気中のエアロゾルは、温室効果ガスによる温暖化のかなりの部分を相殺してきたと考えられている。しかし、大気中の核形成は、気候に対して重要性を持つにもかかわらず、ほとんど理解されていない。近年、硫酸とアンモニアだけでは大気下層で観測される粒子形成速度を説明できないことが示されている。アミンが核形成を促進する可能性があると考えられているが、これまで、大気条件下でのアミンの三成分核形成の直接の証拠はなかった。今回我々は、CERNのCLOUD(Cosmics Leaving OUtdoor Droplets)チェンバーを利用して、体積濃度3pptを超えるジメチルアミンがアンモニアに比べて1,000倍以上も粒子形成速度を速め得ることを見いだした。これは、大気中で観測される粒子形成速度を説明するのに十分である。クラスターの分子解析から、より速い核形成は、蒸発を強力に減少させる酸–アミン対が関わる塩基安定化機構によって説明されることが明らかになった。イオン誘発の寄与は一般的に小さく、硫酸–ジメチルアミンクラスターの高い安定性を反映するとともに、全体の形成速度が小さな場合を除けば、銀河宇宙線はクラスターの形成にごく小さな影響しか及ぼさないことを示している。我々の実験測定は、何の調整パラメーターも用いずに、分子クラスターの結合エネルギーの量子化学計算に基づく動的モデルでよく再現された。これらの結果から、アミン源に近い大気領域では、人間活動が粒子形成に与える影響を評価する際に、アミンと二酸化硫黄の両方を考慮すべきであることが示された。

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