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がん:主要な12種類のがんにおける突然変異の全体像とその意味

Nature 502, 7471 doi: 10.1038/nature12634

がんゲノムアトラス(TCGA)は、最新の塩基配列解読法および解析法を用い、数千の腫瘍について体細胞変異を明らかにした。本研究では、TCGA全がんエフォートの一環として、12種類の腫瘍に由来する3,281サンプルでの点突然変異と小規模な挿入と欠失に関するデータとその解析結果を示す。我々は12種類の腫瘍について横断的に、変異の頻度・タイプ・発生状況の分布を明らかにし、それらと原発組織、環境や発がん性物質の影響、DNA修復失敗との結びつきを確立した。さらに総合データセットを用いて、がんでよく知られている細胞過程(例えばMAPキナーゼ、ホスファチジルイノシトール 3-OHキナーゼ、Wnt/β-カテニン、受容体型チロシンキナーゼが関わるシグナル伝達経路、あるいは細胞周期制御)や、新たに明らかになりつつある細胞過程(例えばヒストン、ヒストン修飾、スプライシング、代謝、タンパク質分解)から、有意な変異を起こした127個の遺伝子を明らかにした。これらの有意な変異を生じた遺伝子における変異の平均数は腫瘍の種類によって異なっていた。そして、ほとんどの腫瘍では2~6個の変異が見られることは、腫瘍形成に必要なドライバー変異の数が比較的少数であることを示している。転写因子や転写調節因子の変異には組織特異性が見られたが、ヒストン修飾因子では複数のがんタイプにわたって変異が多かった。臨床との関連解析では生存に有意に影響する遺伝子が見つかり、クローン/サブクローン構造に関する変異の解析では、腫瘍形成の際のそれらの時間的順序が明らかになった。まとめると、今回の結果は、新たな診断法の開発や、がん治療の個別化に対する基礎となるものといえる。

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