Letter

遺伝:Ficedula属ヒタキ類での種の分岐に関するゲノム全体像

Nature 491, 7426 doi: 10.1038/nature11584

生物系統間の分岐についてゲノムの全体像を解明することは、種分化の理解に重要である。シロエリヒタキとマダラヒタキの自然交配は、接合前隔離および接合後隔離を示す、鳥類の重要な種分化モデルである。我々は、シロエリヒタキの1.1 Gbのゲノムの塩基配列の解読および組み立てを行い、低密度連鎖地図を用いて、その組み立てた配列を染色体上に物理的に位置決定し、次に、シロエリヒタキとマダラヒタキの個体群試料を対象に配列再解析を行った。本論文では、種分化についてのゲノム全体像は、高度に不均一であり、配列分岐がゲノム背景の最大50倍もある「分岐の島(divergence island)」が約50個見られることを示す。これらの非ランダムに分布した島は、配列分岐の増大が見られる領域として染色体の大きさに関係なく染色体当たり1〜3領域あり、特徴として、ヌクレオチド多様性レベルの低下、対立遺伝子頻度の範囲の偏り、連鎖不平衡レベルの上昇および両種に共有される多型の割合の低下が見られる。このことは、選択が平行して起こったことを示唆している。分岐のピーク部位は、配列組み立ての難しいセントロメアやテロメアを含むと考えられるゲノム領域近傍にあり、これは複雑な反復構造が種の分岐を推進する可能性を示している。Z染色体の種分岐の背景レベルがかなり高いこと、および共有される多型の割合が低いことから、性染色体と常染色体は異なる種分化段階にあると考えられる。この研究から、種分化ゲノミクスという新興分野につながる道が開かれる。

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