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遺伝:ブタゲノムの解析によるブタの個体群統計学および進化の解明

Nature 491, 7424 doi: 10.1038/nature11622

ブタと人類は、1万年にわたって親密で複雑な関係を築いてきた。家畜化に始まり現代の育種行為に至るまで、人類は家畜ブタのゲノムを作り変えてきた。今回我々は、雌のデュロック種の家畜ブタ(Sus scrofa)のゲノム塩基配列を構築し解析するとともに、ヨーロッパおよびアジアのブタの野生種および家畜ブタのゲノムの比較を行った。野生ブタは東南アジアに出現し、その後ユーラシア全域に広がっていった。今回の結果は、ヨーロッパイノシシとアジアイノシシとの系統学的分岐が古く、約100万年前であったことを明らかにし、選択的除去の解析結果は、RNAのプロセシングと調節に関与する遺伝子の選択を示している。免疫応答および嗅覚に関連する遺伝子には、高速な進化が認められた。ブタは機能的な嗅覚受容体遺伝子を最も多く有しており、そのことは、食物をあさり回るこの動物にとって、においが重要であることを反映している。今回のブタゲノム配列は、この重要な家畜種をさらに改良するうえで重要な情報資源となり、疾患の原因になると考えられる変異が今回多数発見されたことは、ブタの生物医学的モデルとしての可能性を広げるものである。

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