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遺伝:カキのゲノムから、ストレス適応と殻の形成の複雑さが判明

Nature 490, 7418 doi: 10.1038/nature11413

マガキ(Crassostrea gigas)の属する軟体動物門は、最も種数の多い門の1つだが、ゲノムの研究はほとんど進んでいない。今回我々は、短いリード配列とフォスミドプール法を用いて、カキゲノムの塩基配列の読み取りと再構築を行い、同時に発生とストレス応答の際のトランスクリプトームと、殻のプロテオームも解析した結果を報告する。カキゲノムは非常に多型性が高く、反復塩基配列が豊富に存在し、一部の転位因子がまだ活発に移動して変化を引き起こしている。トランスクリプトーム解析により、環境ストレスに応答する多数の遺伝子群が明らかになった。熱ショックタンパク質70とアポトーシス阻害因子をコードする遺伝子の増大は、非常にストレスの多い潮間帯での固着生活にカキが適応するうえで、おそらく中心的な役割を果たしたと考えられる。また今回の解析では、軟体動物の殻の形成過程が現在考えられているよりも複雑で、細胞やエキソソームが幅広く関与していることも明らかになった。このカキゲノム配列によって、冠輪動物(Lophotrochozoa)に関する知識の空白が一部埋まった。

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